金合金

【きんごうきん】

最終更新日:2016-04-12 (火) 17:42:52






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  •  は純金属では展延性が最も大きく,生物学的安全性や化学的安定性が優れているので補綴物への利用に適している。しかし,展延性が大き過ぎて機械的性質が不足する場合もある。そこで,の三元を基本とした合金化によって,高性能な金合金として使用されている。金合金は,ほかの添加元素の種類や量によって用途に応じた性質を得ることができる。

[編集]金属元素の作用・効果

  1. :量が多いと耐食性が向上するが,軟質となり,融解温度が高く,色調が金色を呈する。
  2. :融解温度がわずかに低下し,色調が白色化する。
  3. :機械的性質(硬さや強さ)が向上し,融解温度を低下させる。の組み合わせにより硬化熱処理も付与できる。しかし,耐食性は低下し,色調が赤色化し,伸びもわずかに低下する。
  4. 白金・パラジウム:硬さや強さなどの機械的性質を向上させて白色化させるが,融解温度の上昇を招く。との組み合わせでは硬化熱処理性が得られる。
  5. 亜鉛:多量に添加すると機械的性質の低下を招くため,微量添加される元素である。合金溶解時,他元素に先んじて酸化されるため,合金全体の酸化を抑制する脱酸剤として作用する。
  6. イリジウム(Ir):微量添加により合金の結晶を微細化し,機械的性質の改善が期待できる。


[編集]タイプ別金合金

  •  ISOでは,金合金はタイプ1~4金合金に分類されている。タイプ1金合金は金含有量が最も多く,タイプ4へと漸減する。また,タイプ1が最も軟らかく,タイプ4へ順次硬くなる。金含有量は通常パーセント(wt%)で表示されるが,カラット(K)*1で表示することもある。

[編集]タイプ1


貴金属量*2Au(80~96%)
硬さ(Hv)軟化50~90
硬化
強さ耐力:80MPa以上
伸び:18%以上
用途インレー
硬化熱処理×


[編集]タイプ2


貴金属量Au(73~83%)
硬さ(Hv)軟化90~120
硬化
強さ耐力:180MPa以上
伸び:12%以上
用途インレー・クラウン
硬化熱処理×


[編集]タイプ3


貴金属量Au(71~80%)
硬さ(Hv)軟化120~150
硬化
強さ耐力:240MPa以上
伸び:12%以上
用途クラウン・ブリッジ
硬化熱処理


[編集]タイプ4


貴金属量Au(65%以上)
硬さ(Hv)軟化150~
硬化220~
強さ軟化耐力:300MPa以上
伸び:10%以上
硬化耐力:450MPa以上
伸び:3%以上
用途義歯クラスプ
硬化熱処理




[編集]その他の金合金

 近年はタイプ別金合金の使用が主流であるが,以前は白金加金や低カラット金合金等と呼ばれる金合金が使用されていた。白金加金は我が国独自の名称で,白金の添加により機械的性質を向上させた金合金であり,タイプ4金合金に相当する。カラット別金合金としては20~14Kの金合金があり,我が国では保険適用として14Kが保険収載されており,JIS規格に規定されている。しかし,14K金合金は耐食性や一部の機械的性質が低いこともあって,使用頻度は減少傾向にある。


[編集]陶材焼付用金合金

 陶材焼付用金合金の組成は,鋳造用のタイプ別金合金と異なっている。すなわち,白金とパラジウムが機械的性質,特に弾性係数と硬さの向上及び溶解温度を上昇させる目的で添加されている。陶材の色調に影響を及ぼすための添加は控えめになるのが一般的だが,を添加しないと鑞着強度の維持が困難となるため合金メーカーはジレンマであろう。は酸化膜によって陶材を着色するので一般的に添加されない。陶材とのヌレを向上させ,合金との焼付強さを高めるためにインジウム,スズ,鉄等が添加されることもある。


[編集]加工用金合金

 加工用金合金は,主にクラスプ線として用いられている。加工性,高弾性,高靭性が求められる。一般に白金加金線が用いられる。


[編集]出典

歯科理工学 (新歯科技工士教本)




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*1 金合金中の金の量/金合金量(g)×24
*2 及び白金族の合計量
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