磁性アタッチメント

【じせい ― 】

最終更新日:2016-04-16 (土) 16:42:41




目次 [非表示]

[編集]概要

磁性アタッチメントは,磁石の吸引力を利用して義歯を支台歯に連結する維持装置です。本品は,ネオジム系の希土類磁石を,耐食性に優れた高級ステンレスで被覆し,レーザ溶接によりシールした磁石構造体(magnetic assembly)と,それに吸着する磁性ステンレス製のキーパー(keeper)とからなるサンドイッチ型磁性アタッチメントです。口腔内においてもきわめて安定した性能を発揮する維持装置で,形状はコンピュータによる3次元磁場解析に基づいて設計され,小型でありながら約600gf(マグフィットEX600W),約400gf(マグフィットEX400W)の吸引力を発揮します。


[編集]特長

  1. 機械的維持装置のように,口腔内でアタッチメント本体が磨耗,破損,腐食する心配が無く,維持力が減衰していくことはありません。
  2. 小型であり,基本的にはどの部位の歯にも適用が可能です。特にスペース的に制限がある場合のために,より小型なマグフィットEX400Wを用意しています。
  3. 維持力は強力で,マフフィットEX600W・400Wのみでも充分義歯の維持・安定が得られます。
  4. 磁石の吸引力を利用しているため,着脱方向が厳密でなく,支台歯に無理な荷重(側方力・回転力)がかかりません。
  5. 技工操作(義歯の設計・製作)やチェアサイド操作が容易です。
  6. 義歯が複雑な形態とならないため,患者自身による着脱・清掃などのメインテナンスが容易です。
  7. 磁石構造体には突起を付与していますので,レジン床義歯への維持がより確実に行えます。


[編集]用途

[編集]物理的性質

EX600WEX400W
吸引力610gf400gf
漏洩磁気(辺縁歯肉位置)0.008T(テスラ)0.003T(テスラ)
(※データは参考値)


[編集]使用法

  1. 適応症
    1. 本品は,原則として根面アタッチメントとして無髄歯に適用します。
    2. アタッチメントに必要な垂直間距離
      mag_ex.gif
      前歯臼歯
      EX6003.8mm以上4.3mm以上
      EX400W3.3mm以上3.8mm以上
    3. 別売りのマグフィットEX600・400診断用ゲージを用いると,容易に判定できます。
    4. マグフィットEX600・400診断用ゲージは従来品(600,600S,400)のマグフィット診断用ゲージとは寸法が異なりますので,注意してください。*1
    5. スペース的に制限がある場合には,寸法の小さいマグフィットEX400W(吸引力:約400gf)を適用してください。
  2. 支台歯形成
    一般の根面板作成と同様な方法で支台歯形成します。
  3. キーパーの根面板への鋳造による固定
    キーパーの吸着面が露出するように埋め込んだ根面板をワックスアップします。通法により埋没後,炉内係留時間を通常より15分程度長めに設定し,鋳造により固定します。根面板部の金属には,金銀パラジウム合金などの歯科用合金が使用できます。キーパー付き根面板の鋳造後の酸浴処理には,ジーシーパラクリーンなどを使い,その製品の使用説明書に従い正しく行ってください。キーパー側面の金属棒は鋳造時にキーパーを埋没材に固定する維持棒で,屈曲することにより確実に固定されます。鋳造完了後は切断して根面板を仕上げます。
    ※キーパーの吸着面はできるだけ咬合平面に平行に設定してください。
    ※キーパーの吸着面を研磨する場合は,1200メッシュ程度の細かなエメリーペーパー(耐水性のサンドペーパー)を平らな面に置いて必要最小限にとどめて行ってください。過度に研磨すると吸着力が低下することがありますので,注意してください。また,ポイント類で研磨すると吸着面が曲面になり,同様に吸着力が低下しますので行わないでください。
  4. 根面板合着及び印象採得
    義歯用印象採得は,キーパー付き根面板を支台歯に合着した後に行います。欠損歯数が多く,義歯人工歯列に対してあらかじめアタッチメントの位置を決めにくい場合には,支台歯と粘膜面を同時に印象採得し,根面板と義歯本体を並行して製作するのが安全です。この場合には副歯型法を用います。
    ※試適,合着時に根面板がつかみにくい場合には,別売りのキーパーキャリアを用いると便利です。キャリア先端の磁石で根面板がしっかり保持でき,支台歯に置いた後は横にずらすことにより,簡単にはずせます。
  5. 義歯床完成
    咬合採得,ろう義歯試適は通法に従って行います。これらの操作は咬合床やろう義歯に,磁石構造体を仮着して行うと容易にできます。
    義歯床の重合時には,磁石構造体をそのままの位置に固定して重合操作を行っても差し支えありませんが,重合時の義歯床のひずみによりアタッチメント吸着面が離開するおそれがありますので,磁石構造体を除いて重合することをおすすめします。
    ※磁石構造体を固定したままでの200℃以上での加熱,及び電子レンジでの重合は吸引力が低下します。磁石構造体を除いて重合してください。
    ※レジン床での磁石構造体のスペースを確保するには,別売りのマグフィットEX600W・400W 石膏ダミーを使用してください。
    EX600WEX400WEX600EX400600600S400
    色調ブルーブルーグリーンブラウングリーンブルーブラウン
    ※マグフィットEX600W・400W石膏ダミーは従来品のマグフィット用石膏ダミーとは寸法・形態が異なりますので,注意してください。
  6. 磁石構造体の義歯床への接着
    磁石構造体の吸着面以外の表面に,軽くアルミナサンドブラスト処理(50μm程度のアルミナ粉粒で2~3気圧程度)を行い,ジーシーメタルプライマーⅡなどの金属接着用プライマーを一層塗布した後,ジーシーユニファストⅡなどの常温重合レジン義歯床に接着させます。この操作は,通常,義歯装着後1~2週間して,義歯床が充分口腔粘膜に適合した状態を確認してから,口腔内で直接行います。なお,吸着面に過剰なレジンのバリを作らないために,義歯床の適当な部位にレジンの遁路を設けることをおすすめします。
    ※マグフィットは,磁石構造体とキーパーが密着していないと,強力な吸引力を発揮できません。
    ※ジーシーメタルプライマーⅡを塗布する前に,磁石構造体の吸着面以外の表面に必ずアルミナサンドブラスト処理を行ってください。この処理を行わないと接着力が低下しますのでご注意ください。
    ※アルミナサンドブラスト処理がチェアサイドでできない場合には,あらかじめ技工サイドでアルミナサンドブラスト処理及びメタルプライマーⅡの塗布を行い,常温重合レジンで一層コーティングしてください。


[編集]注意事項

  • [注意]
    1. 金属アレルギーの既往歴のある患者には使用しないこと。
    2. 本品の使用により発疹などの過敏症状を起こした患者には,使用を中止し,すぐに医師の診断を受けさせること。
    3. 本品に対して発疹,皮膚炎などの過敏症の既往歴のある術者は,本品を使用しないこと。また,使用により過敏症状を起こしたときは,使用を中止し,すぐに医師の診断を受けること。
    4. 歯根の破折や高度な垂直的動揺が観察されるような残存歯へは,適用しないこと。
    5. 磁石構造体を装着したままMRI診断を受けた場合,吸引力が低下するので磁石構造体を埋め込んだ義歯を取り外して受信すること。また,キーパー部近傍のMRI診断は困難になるので,患者への充分な説明を行うこと。
    6. 磁石構造体は,200℃以上に加熱すると吸引力が低下するので,注意すること。
    7. 磁石構造体を固定したままでの電子レンジ重合*2は,吸引力低下や義歯床損傷の原因となるので,磁石構造体を除いて重合すること。また,取り付けを誤った磁石構造体を義歯から取り外す際,バーナーや半田ごてを用いた加熱による撤去はしないこと。
    8. 根面板鋳造後の酸浴処理には,塩酸などの酸浴剤を使用すると腐食するので,使用しないこと。また,酸浴剤は,各酸浴剤の指定通りの方法で行い,劣化した液,高温,長時間の条件での処理はしないこと。
    9. 磁石構造体を研削材で削らないこと。破折により形状が損なわれたり,内部へ唾液などが侵入すると錆が発生したり吸引力が低下するので注意すること。また,磁石構造体及びキーパーの吸着面を傷つけると,同様に吸着力が低下するので注意すること。
    10. 吸着力が落ちるので,2個以上の磁石構造体同士を密着させないこと。個々の磁石構造体は,必ずキーパーに吸着させて保管すること。キーパーがない場合は,金属製のセメントヘラやピンセットなどに吸着させて保管すること。
    11. 磁石構造体の変形,破損の原因となるサンドブラストによる1ヶ所への集中的な処理や,長時間の処理はしないこと。
    12. 本品は,歯科に従事する術者以外の人が触れないように適切に保管・管理すること。
    13. 適用の際には,患者の口腔状態を充分考慮し,説明書に記載の用途以外には使用しないこと。
  • その他の注意
    1. 本品は,レジン床に適した磁性アタッチメントです。金属床やハウジングパターンを用いる症例にはEX600・400を使用してください。
    2. 磁石構造体及びキーパーは,平らな面が吸着面です。逆にしますと,吸引力が大幅に下がりますので,注意してください。
    3. キーパーの根面板への鋳造による固定の際には,埋没材の中でキーパーが冷やし金の作用をするため,リングの炉内係留時間を通常より15分間程度眺めに加熱し,取り出し後はすぐに鋳造してください。
    4. 磁石構造体の義歯床への接着時に,キーパーとの間に余分なレジンが入ると,アタッチメントの吸引力が低下します。その場合には,磁石構造体をいったんてっきょして,正しい位置に再接着してください。撤去の際,磁石構造体のケース部(厚さ0.1mm)を破損しないよう注意してください。
    5. マグフィットEX600W・400Wは,従来品とは寸法,形態が異なります。併用する場合には,ワックスアップ時に間違えないように注意してください。
      ※WX600Wと400Wも寸法,厚みが異なりますので注意してください。
    6. マグフィットEX600W・400Wには,それぞれEX600・400用の診断用ゲージを使用してください。マグフィットEX600・400診断用ゲージは従来品(600,600S,400)のマグフィット用診断用ゲージ尾は寸法が異なりますので,注意してください。*3
    7. キーパー維持棒を屈曲する際には,溶接部での破折を避けるため,根元での極端な屈曲やくり返し屈曲はしないよう注意してください。
    8. 製品の仕様については改良のためお断りなく変更する場合があります。


[編集]仕様

1.マグフィットEX600W・400W
2.マグフィットEX600W・400W 磁石構造体単品
3.マグフィットEXキーパー 600・400




[編集]別売品

1.マグフィットEX600・400 診断用ゲージ
2.マグフィットEX600W・400W 石膏ダミー
3.キーパーキャリア(共用)
4.マグフィットピンセット(共用)
5.マグフィット歯ブラシ




[編集]お願い

magfit.jpg

※付属のマグフィットカードに必要事項を記入の上,患者さんへ渡してください。
※製造記号シールを製品ごとに添付しています。適応記録として,作成したマグフィット義歯に添付して頂き,セット後はカルテに貼付し,保管してください。












[編集]製造元及び発売元

  • 製造元
    • 愛知製鋼株式会社
    • 愛知県東海市荒尾町ワノ割1番地
  • 発売元
    • 株式会社ジーシー
    • 東京都板橋区蓮沼町76番1号


[編集]出典

  • 株式会社ジーシー:マグフィットEX取説


[編集]サンプル




[編集]関連語句


*1 マグフィットEX600W・400W用の診断用ゲージにはそれぞれEX6EX4と表示がしてあります。
*2 マイクロ波重合法
*3 マグフィットEX600W・400Wの診断用ゲージにはそれぞれEX6,EX4と表示がしてあります。
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